世界の食材ミニ百科
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ヴィール(仔牛肉)

仔牛肉はヨーロッパでは伝統的な食材であり、高級レストランから家庭の食卓まで、いろんな場面で供されている。残念ながら日本では1990年以前、仔牛肉を含めた牛肉の輸入は完全に日本政府の統制下に置かれていた。特に仔牛肉は国内での絶対的需要が少ないこともあり、輸入量はごくわずか、また国産品も生産量が限られていた。この事が日本国内での仔牛肉料理の一般化を大きく妨げる原因となった。1990年に牛肉の輸入が完全自由化になり、それに伴い、仔牛肉の消費は飛躍的に増大した。クセがなく柔らかい仔牛肉は、高齢化・健康嗜好ともあいまって、さらに普及するだろう。


スタークヴィール
生後6〜8週間ミルクで飼育された後、成牛と同様に穀物で飼育される。
生後5ヶ月〜5ヵ月半経過し、およそ70〜100kgの重さに達したときに肉にされる。


ミルクフェッドヴィール  milk-fed veal

ホワイトヴィール
最も高価な仔牛。離乳期を遥かに越える、生後五ヶ月前後(体重約200キロ)までミルクだけで育てられる。 ミルクには微量の鉄分しか含まれていないので、肉は非常に明るく、淡いピンク色をしている。
牧草や土に含まれる鉄分を摂取する事により肉質が赤くなるので、個別に仕切った畜舎の中で育てられる。

ボビーヴィール(乳飲み仔牛)
飼育法はホワイトヴィールと同じだが、生後約2週間前後で出荷されます(100%乳飲み仔牛といえる)。主にホルスタインの雄が出荷される。
肉質は繊維が細かく締まっているので、特別柔かいとはいえない。
癖もなく肉の繊維も極めが細かいが、その為に調理の方法が他の食肉とは少し違ってくる。食肉が持っている保水率が低いので、素材だけのソテーなどより、肉の表面に粉などを ふりながら、回りを固める焼き方が合っているようだ。



猪肉

猪は世界に約30種ほどの亜種がいる。もともとはアジアやヨーロッパなどを中心に生息していたが、人間によってイノシシまたはその家畜化されたブタが再野生化したものがアメリカ大陸やオーストラリアなどにも放され、生息域を広げることになった。日本にはニホンイノシシとリュウキュウイノシシの2亜種が分布するが、いずれもイノシシの亜種ではなく固有の一種として分類すべきとの議論もなされている。
アジアやヨーロッパでは古くから食べられており、メソポタミアでは紀元前4000年頃には家畜化されていたという記録がある。日本では縄文時代の遺跡からイノシシの骨が出土しているほか、『日本書紀』にも記述が残っている。
かたくて臭みがあるといわれるが、若いイノシシ肉はクセもなくやわらかで甘味がある。食べ頃は1歳過ぎから2歳未満。養殖されたものなら市場でも手に入るが、野生イノシシは山林で狩猟するしかない。牛肉や豚肉に比べると鉄が豊富で、貧血や冷え性の予防・改善に効果がある。新陳代謝を促進するビタミンB1、ビタミンB2を含み、疲労回復にも役立つ。日本では、味噌で煮込む「シシ鍋(ボタン鍋)」が有名。イタリア中部から北部にかけては、ひき肉にしてミートソースなどに使われるほか、フランスではジビエ(野生鳥獣)料理で人気がある。「牡丹」や「山鯨」の別名は、仏教の教えから獣肉が食べられなかった時代の隠語といわれている。

イノブタ
イノシシとブタの交雑種で、イノシシより特有の臭みがなく、やわらかいのが特徴。静岡県の伊豆天城山、京都府の雲ヶ畑、兵庫県の篠山、三重県の朝熊山、和歌山県のすさみ町などが有名。



ラム・マトン

羊は 家畜化されたのは約8000年前とされている。現在でもキリスト教徒やイスラム教徒のあいだでは祝宴の食べものとされている。日本では食用より羊毛の生産に注目していたため、食肉としての歴史は浅い。

主な種類は、

サフォーク種
イギリス原産の肉用種。上質のラム肉となる。毛のない顔部と足部が黒いのが特徴で、世界各地で多数飼育されており、日本でも北海道焼尻島で飼育されている。

サウスダウン種
イギリス原産の肉用種。肉用羊のなかでは最高級とされている。

コリデール種
ニュージーランド原産。日本で最も一般的な種類。毛肉兼用種。


羊肉は広い地域で食用とされている。羊の年齢によって、生後1年未満をラム(lamb、子羊肉)、それ以降のものをマトン(mutton)と呼ぶ。オセアニアでは生後1年以上2年未満をホゲットと区別し、生後2年以上をマトン(mutton)と呼ぶこともある。
日本国内では、牛肉、豚肉、鶏肉に比べ、消費量は少なく、ジンギスカン鍋やラムしゃぶ、スペアリブの香草焼きなど特定の料理でのみ使われることが多いが、ローストや揚げもの、蒸しものなど料理法はさまざま。カルニチンを他の食肉よりも豊富に含むことから、体脂肪の消費を助ける食材とされている。
マトンには独特の臭みがある。ラムには臭みが少なく、ビタミンB2と亜鉛が豊富に含まれているため、肌の若々しさを保ち、細胞の健康を保つ。東洋医学では体を温める作用があるとされ、中国やモンゴルでは「女性のための肉」と呼ばれる。こちらは日本で近年人気が高まりつつある。マトンの臭みを取り除くには、脂肪をそぎ落とすといいと言われる。脂肪に羊肉特有の臭みが集中するためである。他は、香りの強い香草と共に炒める、牛乳に付けておく等の方法がある。
海外では、飼育が盛んなオーストラリア、ニュージーランドをはじめ、豚肉を避けるイスラム教が広く普及した中東での消費量が多い。東アジアでも、モンゴル、中国西北部などでは、代表的な食肉となっており、さまざまな調理法が用いられている。
インドのマクドナルドにはマハラジャマックと呼ばれるメニューがあり、これは牛を神聖な生き物とみなす人々のため、マトンを用いたビックマックのことである。



鹿肉

日本では旧石器時代の遺跡からシカの骨が発掘されており、狩猟の歴史は非常に古い。肉はもちろん、皮や角なども利用されてきた。とくに若い袋角は、中国では鹿茸(ろくじょう)と呼ばれ、高価な漢方薬として取り引きされている。日本では鹿肉のことを「もみじ」と呼び、様々な肉料理に調理され味は一般に柔らかい牛肉に近い。

食用にされる主な種類は、

アカシカ
ニュージーランドからの輸入品が多く、ほぼ通年食べることができる。
Red Venison(アカシカ肉)

ヘラジカ
北米および北欧に分布。体が大きく、クセがなく低脂質で、美味な狩猟肉として人気が高い。

キョン
東アジアに分布する小型の種。中国で食用にされる。

トナカイ
古くから北極圏の重要な家畜とされている。肉だけでなく内臓も食べられている。


ほかの食肉に比べ低脂質、低エネルギーでありながら必須アミノ酸、ビタミン類、ミネラル分が豊富。肉を食用とするほか、皮や骨も生活用品としてさまざまに利用される。赤身肉はビタミンB群を多く含むので、新陳代謝を活発にして疲労回復を促進するほか、肌や粘膜の健康維持にも役立つ。貧血や冷え性を予防する鉄や、細胞の健康を保ち味覚を鋭敏にする亜鉛も多く含んでいる。日本ではもみじ鍋が有名。西洋ではロースト、香味焼き、煮込みなどに多く使われる。とくにフランスでは、ジビエ(野生鳥獣)料理の高級食材とされている。



馬肉

日本に馬が導入されたのは縄文時代で、食用とされていた。しかし、古くから世界各国で農耕や移動手段として利用されているだけに、食用とすることに抵抗をもつ国もある。馬肉を生で食べる習慣は長野県や山梨県、東北地方(福島県会津若松市など)にもあるが、現在では熊本県が馬刺しの本場として知られている。競走馬のような軽種馬ではなく、体格の大きい重種馬が主に食用として飼育される。馬刺しや、味噌で煮る桜鍋などが有名。熊本県では牛肉と同様に、一般的に扱われている。ごく普通にレバーなどの内臓も手に入り、肉はカツやステーキにして食べられている。しかし、日本で流通しているほとんどは、北米産、欧州産、あるいは生体を輸入しての国内肥育もので占められており、純国産はわずかである。
日本の馬肉輸入は、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、オーストラリア、アメリカの順であり、馬刺用馬肉では、カナダがトップである。世界では、およそ主要14カ国で毎年70万トンが生産されており、生産国は上位から

1. 中国 2. メキシコ 3. カザフスタン 4. イタリア 5. アフガニスタン 6. モンゴル
となっている。

主に食用となるのは、

重種馬
道産子、ノルマン、ブルトン、ペルシュロンなど。あるいはその配合種。食用に生産された馬のため肉質がやわらかく、霜降りになる。

軽種馬
サラブレッド系。競馬用として飼育されていたものが事情により食用に転換されることがある。


馬刺しには大別して「トロ」「霜降り」と「赤身」があり、また一頭あたりから採れる量が少ないので珍重される「タテガミ刺し」「こうね(タテガミの脂)」のほか、匂いがほとんどない「レバ刺し」や「タン刺し」などもある。「トロ」と呼ばれる部分はバラ肉の極上部位であり、「霜降り」の場合は赤身に霜がふっている部分であったりする。
馬刺しは、おろしショウガやおろしニンニク、刻みネギなどを薬味に醤油につけて食べるのが一般的である。また、馬刺しや炙った馬刺しをのせた寿司もおいしく、回転寿司などでも見かけるようになった。
馬肉は栄養価が高く、高蛋白・低脂質、また低アレルギー性食品である。フランスでは医者が病人に対して、馬肉の食事を勧めることもある。牛豚鶏などの畜種に比べ、低コレステロール、低飽和脂肪酸、高蛋白質で、ミネラルとしても牛肉や豚肉の3倍のカルシウム、豚肉の4倍・鶏肉の10倍で、ほうれん草・ひじきより豊富な鉄分を含んでいる。さらに、牛肉の3倍以上のグリコーゲンを含み、ビタミン (A・B12・E) 、ペプチド、リノレン酸等も多く含む。



コッパ

長い製造の歴史を持つコッパ(coppa) だが、「コッパ」とは、本来は“豚の首の後部の肉”という意味で、それが用いられることに由来している。
パルマやビアチェンツァが特産地だが、イタリアのその他の地域でも作られており、製法はまちまちだ。
製造技術は独特で、ある部分では「生ハム(プロシュート)」の製法に近く、ある部分では「サラミ」の製法に近いという、独特の方法で加工される。まずは塩・胡椒、そして各種スパイスを肉に揉みこんで、十分にその成分を浸透させる。その後、腸詰めとし、最低3か 月間の熟成を行なう。
こうして生産されたコッパは、生ハムともサラミとも違う、コッパならではの鮮烈な香りと甘口の風味が感じられる味わいとなる。


プロシュート

プロシュート(Prosciutto)はイタリア語で「とても乾いた物」という語源でイタリアでは豚のもも肉のハムを表わすが、日本では特にイタリア産、またはイタリア式に薫製にしない生ハムを言う。豚のもも肉を塩漬けにした後、乾燥したところにつるし、製造する。自家製のものは、暖炉近くにつるされることがあるが、意図的な燻上は行わない。生ハムであるため、近年まで個人が持ち込んで輸入することに制約があった。
以下のものが有名。

パルマ産のプロシュット・ディ・パルマ

サン・ダニエーレ(ウーディネ県)産のプロシュット・ディ・サン・ダニエーレ



イベリコ豚

イベリコ豚とは、豚の一品種。スペイン西部地方のみで飼育されるイベリア種というスペイン原産の黒豚。黒い脚と爪をもつ傾向があり、スペイン語では「黒足の豚」(pata negra)と表現される。

特色
肉質が良く、脂身はサラリとして甘味があるのが特色。脂身には、餌であるドングリ由来のオレイン酸を多く含む。この特色は、餌や飼育法に拠るところが大きく、品種的な特徴ではない。
脂肪分は、いわゆる霜降り状に付いているが、この特色は飼育法と品種的な特徴の両方から成る。

飼育法
イベリコ豚は、品種名であるだけではなく、特別な飼育法で育てられる。最大の特徴は、放牧を行うことである。

1. 哺乳期間
誕生から2ヶ月までは、母豚からの哺乳により飼育される。

2. 予備飼育
離乳から体重が100kg前後になるまでの期間。樫やコルク樫の森で天然穀物飼料、牧草、種子、草の根を自由に食べさせる。

3. 肥育期間
モンタネーラ(montanera)と呼ばれる放牧期間。一般的には10月から翌年2月、3月まで続く。この間、イベリコ豚は自分でドングリ、牧草、球根植物、植物の根を食べる。放牧中に運動することによって、脂肪分がいわゆる霜降り状に付く。

ランキング
モンタネーラ後の肉質や増加体重によって、イベリコ豚はランク付けされる。

1. ベジョータ (BELLOTA)
放牧期間前と比較して、50%以上の体重増があり、肉質がベジョータの基準をクリアしたもの。

2. レセボ (RECEBO)
肉質がベジョータの基準をクリアできなかったものや、体重増が50%未満であり、モンタネーラ後も引き続き自然餌を加えた人工飼料を与え、体重を増加させたもの。

3. ピエンソ (PIENSO)
穀物飼料だけで肥育されたもの。




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